月明かりの部屋で鏡を背に手を伸ばすタチヤーナとオネーギンを描いた水彩画

Onegin

オネーギン

差し出した手が届くとき、愛はもう同じ場所にはいない。

作曲
ピョートル・チャイコフスキー
初演
1965
構成
全3幕
上演
135

WATCH IT NEXT

オネーギン』の直近公演

公演をすべて見る →

公式情報の確認日つき。購入前には主催者ページで最新情報をご確認ください。

あらすじ

第1幕

恋文と鏡

1820年代のロシアの田園。

夢見がちで読書好きなタチヤーナは、妹オリガの婚約者レンスキーが連れてきた都会の青年オネーギンにひと目で惹かれる。夜、自室に戻ったタチヤーナは高まる思いを手紙に託し、鏡の中から現れた理想のオネーギンと踊る夢を見る。翌朝、手紙を乳母に託すが、現実の彼が同じ愛を返してくれる保証はない。憧れと現実が初めてすれ違う幕である。

第2幕

拒絶と決闘

タチヤーナの誕生日。

田舎の宴に退屈したオネーギンは、彼女を呼び出して愛には応えられないと告げ、目の前で手紙を破る。さらに気まぐれからオリガと親しく踊り、嫉妬した親友レンスキーを挑発してしまう。決闘を止めようとする姉妹の願いも届かず、オネーギンはレンスキーを撃ち倒す。軽い退屈から始まった行動が、取り返せない喪失へ変わる。

サンクトペテルブルクの夕景を背に、別れを選ぶタチヤーナと嘆くオネーギンを描いた水彩画
第3幕

遅すぎた手紙

数年後のサンクトペテルブルク。

旅を続けても空虚さから逃れられないオネーギンは、グレーミン公爵の舞踏会で、気品ある公爵夫人となったタチヤーナと再会する。かつて見落とした彼女の価値にようやく気づき、今度は自分が恋文を送る。二人きりになるとタチヤーナの心も揺れるが、彼女は現在の生活と自らの尊厳を選ぶ。昔と逆にオネーギンの手紙を破り、彼を永遠に去らせる。

見どころ

鏡のパ・ド・ドゥ

第1幕、自室で手紙を書いたタチヤーナが、鏡の中の理想のオネーギンと踊る夢の場面。現実にはまだ始まっていない恋を、大胆なリフトと途切れない流れで可視化する。幸福な二人を描くのではなく、彼女の想像の熱そのものを踊る点が重要である。

手紙のパ・ド・ドゥ

最終場では立場が逆転し、今度はオネーギンがタチヤーナへすがる。拒みながらも揺れる彼女と、失った時間を取り戻そうとする彼の身体が激しく交差する。第1幕の鏡の場面と対にして観ると、同じ接近と離反がまったく違う意味に見える。

四人の選択が連鎖するドラマ

物語を動かすのは大事件より、手紙を破る、相手の婚約者と踊る、決闘を受ける、扉から去らせるといった一つずつの選択。タチヤーナ、オネーギン、レンスキー、オリガの視線と反応を追うと、台詞のない舞台でも心理の変化がはっきり読める。

チャイコフスキーの旋律と劇の呼吸

音楽はチャイコフスキー、編曲・オーケストレーションはクルト=ハインツ・シュトルツェ。叙情的な旋律が田園の素朴さ、舞踏会の華やかさ、二人の後悔をつなぎ、踊りだけで長編文学を語るクランコの明快なドラマを支える。

主要登場人物

若い恋/遅い求愛姉妹婚約友人から決闘へ結婚タチヤーナオネーギン都会の青年オリガレンスキー詩人グレーミン公爵
愛・恋家族・つながり対立・裏切り魔法・呪い
人物にふれると、その関係が浮かび上がります。※版により設定が異なる場合があります。
タチヤーナ
読書と空想を好むラリーナ家の姉娘。若い日の拒絶を越え、最後には愛だけでなく自分の選択と尊厳を守る。
オネーギン
都会から田園を訪れた倦怠の青年。タチヤーナを退け、親友を失ったのち、遅れて自分の愛と喪失に気づく。
レンスキー
詩人でオリガの婚約者。オネーギンの友人だが、誇りと嫉妬から決闘を挑み命を落とす。
オリガ
タチヤーナの快活な妹でレンスキーの婚約者。宴でオネーギンの戯れに応じ、決闘の引き金となるすれ違いに巻き込まれる。
グレーミン公爵
年月を経てタチヤーナの夫となる人物。彼女を大切にし、オネーギンに失ったものの大きさを悟らせる。

有名な場面・踊り

  • 第1幕 鏡のパ・ド・ドゥ
  • 第2幕 タチヤーナの誕生日と手紙の拒絶
  • 第2幕 レンスキーの決闘前の場面
  • 第3幕 舞踏会とグレーミン公爵とのパ・ド・ドゥ
  • 第3幕 手紙のパ・ド・ドゥ

この作品で出会う用語

初めて観る人へ

人物名が多く見えても、まず二組だけ覚えれば大丈夫です。姉タチヤーナはオネーギンに恋をし、妹オリガはレンスキーと婚約しています。第1幕で『タチヤーナが手紙を渡す』、第3幕で『オネーギンが手紙を渡す』という反転を軸にすると、物語を見失いません。技の回数より、相手を見る・目をそらす・手紙を破る・扉を閉じるという動作が感情を語ります。鏡のパ・ド・ドゥと最後の手紙のパ・ド・ドゥを対にして観てください。

豆知識

  • シュツットガルト・バレエでの世界初演は1965年、新版初演は1967年。後の上演で広く知られる形は、この改訂を経て磨かれた。
  • クランコは『ロミオとジュリエット』『オネーギン』『じゃじゃ馬馴らし』によって、20世紀の全幕物語バレエを発展させた。
  • 題名はオネーギンだが、物語の変化を最も大きく担うのはタチヤーナ。最後に愛を否定するのではなく、現在の自分の選択を引き受ける。
  • 2026年の東京バレエ団公演は、2012年以来14年ぶりの上演で、全4公演が予定されている。

上演時間・あらすじ・登場人物は上演する版によって異なる場合があります。観劇の際は、主催者の公式情報もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q.バレエ『オネーギン』のあらすじは?
A.若いタチヤーナが都会の青年オネーギンへ恋文を送るものの拒絶され、数年後に立場が逆転する物語です。公爵夫人となった彼女へ今度はオネーギンが愛を告げますが、タチヤーナは揺れながらも彼を去らせます。
Q.鏡のパ・ド・ドゥとは何ですか?
A.第1幕で、恋に落ちたタチヤーナが鏡の中から現れた理想のオネーギンと踊る夢の場面です。現実の二人ではなく、彼女の憧れと想像をダイナミックなリフトで描きます。
Q.手紙のパ・ド・ドゥはどの場面ですか?
A.第3幕の最後、オネーギンがタチヤーナへ愛を訴える場面です。第1幕とは求める側と拒む側が逆になり、最後にタチヤーナが彼の手紙を破って別れを決めます。
Q.『エフゲニー・オネーギン』のオペラと同じ作品ですか?
A.原作はどちらもプーシキンの韻文小説ですが、バレエ『オネーギン』はジョン・クランコ振付の独立した舞台作品です。バレエではチャイコフスキーの音楽をクルト=ハインツ・シュトルツェが編曲・オーケストレーションしています。
Q.2026年の東京公演はいつですか?
A.東京バレエ団が2026年11月6日から8日まで、新国立劇場オペラパレスで全4公演を予定しています。出演者や販売状況は主催者の公式情報をご確認ください。

CONTENT NOTE

参考情報と更新履歴

作品の筋・配役・上演時間は版によって異なります。Ballet Mapでは複数の版に共通する流れを軸に、 公的劇場・主催団体の公開情報を参照して編集しています。

情報の集め方・訂正方針を見る →

次に観るなら