金色の祝宴の舞台で扇を掲げるパキータと群舞を描いた水彩画

Paquita

パキータ

胸元の小さな肖像が、失われた名前と未来を取り戻す。

作曲
エドゥアール・デルデヴェズ/ルートヴィヒ・ミンクス
初演
1846
構成
全2幕3場(版により第3幕表記)
上演
125

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あらすじ

第1幕

第1場 出会い

ナポレオン軍が駐留するスペイン、サラゴサ近郊。

フランス軍将校リュシアンは、村の祭りに現れた旅芸人一座の娘パキータに惹かれる。パキータも心を動かされるが、身分の違いを理由に求愛を退ける。一座の頭領イニゴはパキータを自分のものにしたいと願い、リュシアンを疎む。そこへ、政治的な思惑から別の縁談を進めたいスペイン総督ドン・ロペスが加わり、二人はリュシアン暗殺を企てる。

第1幕

第2場 救出

一座の住まいで陰謀を盗み聞いたパキータは、訪れたリュシアンに危険を知らせようとする。

イニゴは眠り薬入りの酒を勧めるが、パキータは杯をすり替え、イニゴ自身を眠らせる。彼の服から落ちた小さな肖像を取り戻したパキータは、仕掛け扉を使ってリュシアンと脱出する。身分差を恐れていた少女が、自分の判断と勇気で将校の命を救う場面である。

第2幕

正体と祝宴

フランス軍将軍の邸宅。

戻ったリュシアンは命の恩人としてパキータを紹介し、彼女は暗殺を命じた総督を告発する。やがて壁の肖像と手元の小さな肖像が一致し、パキータがかつて襲撃されたフランス貴族一家の生き残りだと判明する。身分の壁は消え、パキータとリュシアンの結婚が認められる。物語の解決後、グラン・パ、ヴァリエーション、マズルカなどが連なる華麗な祝宴で幕を閉じる。

見どころ

1846年の物語と、後世のグラン・パ

『パキータ』は、マジリエとデルデヴェズによるロマンティック・バレエの物語を土台に、プティパとミンクスが古典的な祝宴の踊りを重ねた作品。芝居と性格舞踊で進む前半、純粋なクラシック技巧を見せる終幕という二つの時代の魅力を一作で比べられる。

グラン・パ・クラシック

群舞のアントレ、主役のアダージョ、ソリストたちのヴァリエーション、主役のソロ、全員のコーダへ進む祝宴の中心。コール・ド・バレエの端正な隊形と、踊り手ごとに質の異なる高度な技巧が次々に現れる。全幕が上演されない場合も、この部分だけで古典バレエの見本帳として成立する。

第3幕と呼ばれる理由

全幕復元版は全2幕3場だが、日本の公演や発表会では祝宴部分を『第3幕』と呼ぶことがある。幕と場の数え方、上演版、抜粋範囲が異なるためで、『第2幕のグラン・パ』『第3幕』『グラン・パだけ』が近い場面を指す場合がある。公演プログラムの演目表記を確認すると迷いにくい。

ヴァリエーション番号は固定ではない

終幕には後世の挿入曲や別作品由来の音楽も受け継がれ、上演団体によって人数・曲順・番号が変わる。『第4』『第5』『エトワール』などの通称だけでは同じ曲を保証できないため、踊る場合は音源、冒頭の振付、使用版を指導者と照合することが大切。

主要登場人物

パキータ
旅芸人一座で育った勇敢な娘。小さな肖像を手がかりに、自分がフランス貴族の生き残りだと知る。
リュシアン・デルヴィリー
パキータに恋をするフランス軍将校。身分差を越えて彼女を伴侶に望む。
イニゴ
一座の頭領。パキータへの執着と嫉妬から、リュシアン暗殺の企てに加わる。
ドン・ロペス
スペイン総督。政治的な縁談を守るため、リュシアンを排除しようとする。
セラフィナ
ドン・ロペスの妹。リュシアンの婚約相手として周囲から望まれている。
デルヴィリー将軍
リュシアンの父。邸宅の肖像を通じて、パキータの失われた出自と自家の縁を知る。

有名な場面・踊り

  • グラン・パ・クラシック(アントレ/アダージョ/ヴァリエーション/コーダ)
  • パキータの主役ヴァリエーション
  • リュシアンの男性ヴァリエーション
  • パ・ド・トロワ
  • ポロネーズとマズルカ

この作品で出会う用語

初めて観る人へ

公演名が『パキータ 第3幕』や『グラン・パ』なら、長い物語をすべて予習する必要はありません。最初に大人数の隊形、次に主役二人のアダージョ、ソリストの短いヴァリエーション、最後に全員のコーダという流れだけ押さえると、踊り手ごとの音楽性と技の違いを楽しめます。全幕なら、小さな肖像、眠り薬入りの杯、仕掛け扉、壁の肖像が物語の鍵です。パキータは助けられるだけのヒロインではなく、自分で危険を見抜きリュシアンを救う人物として観ると、祝宴の誇りがより鮮明に見えます。

豆知識

  • 1846年の初演はデルデヴェズの音楽による物語バレエで、現在よく耳にするミンクスのグラン・パはロシアでの改訂時に加わった。
  • 全幕の物語が長く失われても、グラン・パとパ・ド・トロワはロシアの上演伝統の中で踊り継がれた。
  • 2001年、ロマンティック・バレエ復元で知られるピエール・ラコットが、失われていた全幕をパリ・オペラ座で再構成した。
  • ヴァリエーションには複数の伝承と挿入曲があるため、番号だけを絶対的な作品名として扱わない方が正確。

上演時間・あらすじ・登場人物は上演する版によって異なる場合があります。観劇の際は、主催者の公式情報もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q.バレエ『パキータ』のあらすじは?
A.旅芸人一座で育ったパキータが、暗殺されそうになったフランス軍将校リュシアンを救い、自分が実はフランス貴族の生き残りだと知って、身分の壁を越えて彼と結ばれる物語です。
Q.なぜ『パキータ第3幕』だけ上演されるのですか?
A.終幕のグラン・パが、群舞・主役のアダージョ・多彩なヴァリエーション・コーダを備え、物語から独立した古典バレエの祝典として完成しているためです。全幕が途絶えた時代にも、この踊りの部分は上演伝統の中で受け継がれました。
Q.パキータは全2幕ですか、全3幕ですか?
A.数え方と版によって表記が異なります。1846年の作品は複数の場面からなり、現在のラコット復元版は全2幕3場です。日本では祝宴部分を『第3幕』と呼ぶ公演もあるため、プログラムの上演範囲を確認してください。
Q.作曲家はデルデヴェズとミンクスのどちらですか?
A.どちらも関わっています。1846年初演の主要音楽はエドゥアール・デルデヴェズ、後のロシア改訂でグラン・パなどに音楽を加えたのがルートヴィヒ・ミンクスです。上演版によって使われる曲の範囲が変わります。
Q.パキータのヴァリエーションは何種類ありますか?
A.一つの固定一覧にはできません。後世の挿入曲、上演団体、音源編集によって人数・順序・番号が変わるためです。『第4』『第5』『エトワール』などの通称だけで判断せず、音源と振付を照合するのが確実です。

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参考情報と更新履歴

作品の筋・配役・上演時間は版によって異なります。Ballet Mapでは複数の版に共通する流れを軸に、 公的劇場・主催団体の公開情報を参照して編集しています。

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