白鳥の湖の一場面

Swan Lake

白鳥の湖

月明かりの湖で、呪われた姫がただ一度の愛を夢見る。

作曲
ピョートル・チャイコフスキー
初演
1895
構成
全4幕
上演
150

WATCH IT NEXT

白鳥の湖』の直近公演

公演をすべて見る →

公式情報の確認日つき。購入前には主催者ページで最新情報をご確認ください。

あらすじ

城の庭園の祝宴で、夕暮れの空を飛ぶ白鳥の群れを見上げる王子の水彩イラスト
第1幕

ジークフリート王子の成年を祝う宴が城の庭園で開かれている。

母である王妃が現れ、明日の舞踏会で花嫁を選ぶよう王子に告げ、贈り物として弓を渡す。自由を奪われる結婚を前に物思いにふける王子は、夕暮れの空を白鳥の群れが飛んでいくのを見つける。気晴らしを求めた王子は、友人たちと別れ、弓を手に白鳥を追って湖へと向かう。来たるべき運命への漠然とした憂いと、若さゆえの衝動が交錯する幕である。

月光の湖畔で白鳥から人間の姿に戻るオデットの水彩イラスト
第2幕

月光の湖畔。

狩りにやってきた王子は、白鳥が美しい娘へと姿を変える瞬間を目撃する。彼女は王女オデットで、悪魔ロットバルトの魔法により昼は白鳥、夜だけ人間の姿に戻る運命にあると語る。魔法を解けるのは、まだ誰も愛したことのない者の永遠の愛の誓いだけだという。王子はオデットに心を奪われ、永遠の愛を誓う。やがて夜が明け、オデットは仲間の白鳥たちとともに再び湖へと去っていく。この幕は群舞「白鳥たちの踊り」など、作品を象徴する場面に満ちている。

舞踏会で王子を誘惑して踊る黒鳥オディールの水彩イラスト
第3幕

城の大広間で花嫁選びの舞踏会が開かれる。

各国から候補の姫たちが集い、華やかな民族舞踊が披露される。そこへロットバルトが、娘オディール(黒鳥)を伴って現れる。オディールはオデットそっくりの姿で王子を巧みに誘惑する。すっかり欺かれた王子は、オディールこそオデットだと信じ込み、彼女との結婚を誓ってしまう。その瞬間、窓の外に本物のオデットの嘆く姿が現れる。誓いを破られたと悟った王子は過ちに気づき、絶望して湖へと駆け出す。

夜明け前の湖畔で寄り添うオデットと王子の水彩イラスト
第4幕

再び湖畔。

裏切られたオデットは白鳥の仲間たちのもとへ戻り、深い悲しみに沈んでいる。追ってきた王子は許しを乞い、二人の愛を改めて確かめ合う。そこへロットバルトが現れ、二人の仲を引き裂こうとする。版によって結末は分かれ、王子とオデットが湖に身を投じて愛を貫き、その純粋さがロットバルトの魔力を打ち破る悲劇版が代表的である。一方で、王子がロットバルトを倒し、二人が結ばれるハッピーエンド版も広く上演されている。

見どころ

白鳥たちの群舞

第2幕・第4幕の白鳥の群舞は、コール・ド・バレエ(群舞)の美の極致とされる。一糸乱れぬ隊形と腕の動きが湖面を漂う白鳥そのものを描き出し、カンパニーの実力が最も問われる場面でもある。

一人二役 オデットとオディール

清純な白鳥オデットと、妖艶な黒鳥オディールを同じプリマが演じ分けるのが本作最大の見どころ。可憐さと魔性という正反対の表現力が一人のダンサーに求められ、バレリーナにとって究極の挑戦とされる。

黒鳥の32回転フェッテ

第3幕でオディールが見せる「グラン・フェッテ・アン・トゥールナン」32回転は、バレエ屈指の超絶技巧。その場でほぼ移動せず連続回転し続ける様は、王子を翻弄する魔性の象徴として観客を沸かせる名場面である。

チャイコフスキーの音楽

オーボエが奏でる物悲しい「白鳥のテーマ」をはじめ、全幕を貫く豊かな旋律はバレエ音楽の金字塔。情景・心理・運命を雄弁に描き分け、踊りと一体となって物語を立ち上げる。

主要登場人物

母・花嫁選びを命じる友人永遠の愛を誓う欺かれて求婚白鳥の呪い父娘同じダンサーが演じる王妃ベンノジークフリート王子オデット白鳥オディール黒鳥ロットバルト悪魔
愛・恋家族・つながり対立・裏切り魔法・呪い
人物にふれると、その関係が浮かび上がります。※版により設定が異なる場合があります。
オデットのイラスト
オデット
白鳥に姿を変えられた王女。第2幕で王子と出会い愛を誓う、清純なヒロイン
オディールのイラスト
オディール
ロットバルトの娘。オデットそっくりの姿で王子を誘惑する黒鳥。多くはオデットと同一ダンサーが演じる
ジークフリート王子のイラスト
ジークフリート王子
成年を迎え花嫁選びを迫られる主人公。オデットに永遠の愛を誓うが、オディールに欺かれる
ロットバルトのイラスト
ロットバルト
オデットに白鳥の呪いをかけた悪魔。物語の対立軸を担う
王妃のイラスト
王妃
ジークフリートの母。舞踏会での花嫁選びを命じる
ベンノのイラスト
ベンノ
王子の友人。第1幕や狩りの場面で王子に付き従う(版により役割は異なる)

有名な場面・踊り

  • 白鳥のテーマ(オーボエの主題と「情景」)
  • 白鳥たちの踊り(第2幕の群舞)
  • 四羽の白鳥の踊り(小さな白鳥たちの踊り)
  • 黒鳥のグラン・フェッテ32回転(第3幕)
  • オデットとジークフリートのグラン・アダージョ(第2幕の白いパ・ド・ドゥ)

初めて観る人へ

まずは「同じダンサーが白鳥オデットと黒鳥オディールを演じ分ける」点に注目すると一気に面白くなります。オデットの腕は柔らかく繊細、オディールは強く挑発的——同じ人物とは思えない対比を味わってください。音楽では、オーボエが奏でる物悲しい「白鳥のテーマ」が物語の核となる旋律です。第2幕の群舞の美しさ、第3幕の32回転フェッテという技の見せ場、と緩急がはっきりしているので飽きません。結末は上演する版によって悲劇にもハッピーエンドにも変わるため、観る前にどの版かを確認しておくと、ラストをより深く楽しめます。

豆知識

  • 1877年の初演は振付や上演条件に恵まれず不評だった。今日の評価が確立したのは、チャイコフスキー没後の1895年プティパ/イワノフ版以降である。
  • 第2幕・第4幕の叙情的な「白い場面」はイワノフ、第1幕・第3幕の華やかな宮廷場面はプティパが主に振付を担当したと伝えられる。
  • 結末は一つではなく、湖に身を投じる悲劇版、二人が結ばれるハッピーエンド版など、カンパニーや版によって大きく異なる。
  • 「四羽の白鳥の踊り」は4人が腕を組んだまま顔を左右に振り脚を揃えて踊る難曲で、技術と呼吸の一致が要求される名物場面である。

上演時間・あらすじ・登場人物は上演する版によって異なる場合があります。観劇の際は、主催者の公式情報もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q.白鳥の湖の結末は悲劇ですか、ハッピーエンドですか?
A.上演する版によって異なります。王子とオデットが湖に身を投じて愛を貫き、その純粋さが悪魔ロットバルトの魔力を打ち破る悲劇版が代表的ですが、王子がロットバルトを倒して二人が結ばれるハッピーエンド版も広く上演されています。
Q.オデットとオディールは同じダンサーが踊るのですか?
A.多くの上演で、清純な白鳥オデットと妖艶な黒鳥オディールを同じプリマが一人二役で演じ分けます。正反対の二役を一人で表現することが、本作最大の見どころとされています。
Q.黒鳥の32回転フェッテとは何ですか?
A.第3幕でオディールが見せる「グラン・フェッテ・アン・トゥールナン」32回転のことです。ほぼその場から動かず連続で回転し続ける超絶技巧で、王子を翻弄する魔性の象徴として観客を沸かせます。
Q.上演時間はどのくらいですか?
A.全4幕で約150分(休憩を含む)が一般的です。上演する版によって長さは前後します。

CONTENT NOTE

参考情報と更新履歴

作品の筋・配役・上演時間は版によって異なります。Ballet Mapでは複数の版に共通する流れを軸に、 公的劇場・主催団体の公開情報を参照して編集しています。

情報の集め方・訂正方針を見る →

次に観るなら